大人の素敵な働き方 ~未来あふれる企業紹介~  vol.1

株式会社ケイ・アイ・ディ

[ 商品開発・人材派遣   ]

”あったらいいな”をカタチにする会社

島田市に、“あったらいいな”をカタチにしてくれる会社があります。

機械設計というちょっと専門的な分野でもありますが、ものづくりという意味ではまさにゼロから機械をつくってしまう創造性あふれる技術者集団。それが株式会社ケイ・アイ・ディという会社の本当の姿です。

主に自動車部品など、工業製品の設計・製造を行なっている株式会社ケイ・アイ・ディは、島田市に本社をおくK.i.Dグループのひとつです。グループでは他に人材派遣や試験や検査を行う会社があったり、最近では北海道を中心に漁業関連の機械の製造などを行う会社もあります。グループで商品の提案から企画、そして設計・製造まで一貫しておこなうことができるのがK.i.Dグループの強みです。

ありそうでなかなかできないものづくりの会社、株式会社ケイ・アイ・ディ。中に入って代表の小林さんにお話を聞いてみました。

北海道釧路の食材の流通をサポートする試み

「最近、島田の駅前で『昆布森』という炉端焼きの飲食店を始めています。もともと飲食店をやりたかったというわけではなく、グループ内のK.i.D釧路で始めた漁業者向けの機器の開発や製造で地元の漁業関連の方達と仲良くなりました。その中で北海道の食材の魅力を感じ、これら食材の流通をサポートしたいという思いにかられました。もちろん流通が盛んになれば自社商品の販売にもなるので一石二鳥だと考えて流通の可能性を探り始めたのですが、こういった漁業関連の商品の流通に関しては初の試みだったので、まずは自分たちで商品を紹介することが一番早いのかと考え、飲食店の開業に至ったわけです。」

機械の設計とか製造と聞くと、知らない人にとってはとても難しく感じてしまうこともあるでしょう。しかし一方で飲食店も始めているという小林さんは思った以上に自由な発想をもっているのかもしれません。当たり前のことをコツコツ積み上げるだけの人から見ると、その創造性あふれる発想や行動力は、ついていくのが大変なのかもしれませんが。

小林さんの考えのもとはいったいどこにあるのでしょうか?過去の話を聞きながら探っていきました。

ないものをつくっていく 一次産業向けの開発をスタート

「そういったK.i.D釧路のスタートなんですが、もともとリーマンショックの時に自動車関連の仕事がほとんどだったのでかなり会社の経営が大変になりました。その時に一極集中だけの請負の製造業からの脱却を考え、自動車関係以外の機械製造を考え、あと自社商品の開発も考え一次産業向けの機械開発をスタートしました。

最初は植物工場関連のものから始め、社内に実験施設なども作りました。その時に涼しい場所が必要となって北海道が候補にあがり、北海道のむかわ町で研究所を始めることができました。廃校を再利用した植物の実験室を皮切りにものづくりをスタートしたら、北海道内で多少知れ渡り漁業関連の方の目にとまり昆布の機械の製造のきっかけとなりました。」

商品開発などを大手企業で学んだ経験があった小林さん。どうやら壁にぶつかったらまず動いてみるという性格のようです。このあたりがただ機械設計の会社というだけではなく、ものづくり会社としての株式会社ケイ・アイ・ディの原点なのかも知れません。

「もともと機械の開発や販売が目的ではありますし、今現在もK.i.Dでは様々な機械の製造や設計などがメインでもありますが、北海道でのこういった活動により農業高校や工業高校での実験にも自分たちの開発された機械が使われたりしてK.i.Dの会社としての幅も広がりはじめています。

リーマンショックで大変な思いもしましたが、K.i.Dではゼロからの企画開発や人材派遣などもできる中小企業では特別な存在になり始めているのではないかと考えています。開発はとても面白い仕事でもありますが、なかなかビジネスになっていくのは大変なので(笑)、これからも苦労しながらになると思いますが、ないものをつくっていくということは頑張っていきたいと考えています。」

代表の小林さんが描く株式会社ケイ・アイ・ディのこれからはいったいどんなカタチになるのでしょう。期待でワクワクしてしまいます。

会社独自の人材派遣で大手企業へ 様々なことを学ぶ

「高卒でK.i.Dに入社しました。機械の組み立てから始めて、今では設計をまかされています。」

こう話すのは機械設計をされている従業員の杉本さん。スタッフからみた株式会社ケイ・アイ・ディはどんな風に見えるのでしょうか。

「入社後少ししてから派遣で他社で5年ほど設計の仕事をしました。そこは大手企業だったので中小企業とはまた違ったものが学べたりしました。K.i.Dでは人材派遣もやっているので、自社だけで学ぶこと以外でも様々なことが学べる可能性もあると思います。そういったことが不得意な方もいるとは思いますが(笑)。」

「K.i.Dは自由な風潮があると思います。それぞれの担当にまかせられている感じがすごくします。それは自分の責任になってしまうということでもありますが、割とゼロからものごとを考えなければならないので当然といえば当然なのかも知れませんね。」

クリエイティビティを活かす、ゼロからの企画と設計

与えられたものをやることがこういった会社のベースになると思いますが、ゼロに近い状態から始めることに苦労はありませんか?

「もともと美術系が好きでその方面に進もうと考えていました。大学に進もうとも思っていたのですがそちらは断念しました。なので、K.i.Dのようにゼロから企画したり考えたりする設計が多いのは性にあっているのかも知れません。設計って人がでるんですよ、実は。

ゼロといってもクライアントがいて要望もあって、ある程度方向性は固まってはいます。それに対して自分が本当にいい設計に仕上げられた時はすごく気持ちがいいです。K.i.Dではそういったクリエイティビティも少しは活かせられているんじゃないかと思います。ただ機械の設計なので強度計算だったりといろいろ気にしないといけないところは多いので、設計が終わっても気が抜けるということはあんまりないですね。」

「今、家を買ったばかりなので庭をつくったりするのも楽しみです。休日はカフェにいったり、植物を育てたり、たまに金魚を育てたり、のんびり楽しく暮らしています。

今はK.i.Dで目の前のことを一生懸命やりながら、島田の暮らしを楽しんでいくことが日々の目標ですね!」

日常もマイペースで楽しんでいるようでした。

自由な風土で、創造性の高い仕事ができる会社

島田市にある株式会社ケイ・アイ・ディは様々な設計はもちろん、人材派遣からオリジナルの機械も開発していき、高校などにも開発した装置の納品実績がある、なかなか地方の中小企業ではできないようなことをしている会社でした。勝手な想像ながら、それは下町ロケットの佃製作所みたいなものなのかと思いました。

代表の小林さんがフリーランスから始めた創造性の高い設計が、新しいカタチとなって島田市の中小企業として花開いていっています。設計というものはなかなか誰でもという訳ではないかも知れませんが、高卒の全くのゼロからスタートした杉本さんが、いまや主力となって最前線で働いているのは、またK.i.Dの自由な風土のたまものかも知れません。これからの株式会社ケイ・アイ・ディの活躍をぜひ期待したいと思います。

取材・撮影/unautre

株式会社ケイ・アイ・ディ
本社:静岡県島田市向島町4638-1
TEL:0547-36-1860
牧之原事業所:静岡県牧之原市布引原455-1
TEL:0548-25-2177
HP:http://www.k-i-d.co.jp